盛岡市地域おこし協力隊活動報告(令和5年4月・山代隊員)
広報ID1042798 更新日 令和5年5月8日 印刷
盛岡市、大ケ生地域で地域おこし協力隊を担当しています、山代森と申します。今回は普段の活動や、大ケ生地域での暮らしについてご紹介させて頂きます。
私は「金山の里大ケ生地域における山里暮らしの継承支援」をテーマに令和3年10月から活動しています。
まず初めに「大ケ生」という地名、「おおがゆう」と読みます。私は県内出身で盛岡の隣町で育ちましたが、ここ大ケ生地域には着任するまで訪れたことがありませんでした。大ケ生地域は盛岡市内から車で南へ30分ほど離れた場所にあり、約150世帯が暮らす小さな集落です。黒森山、鬼ケ瀬山、朝島山という3つの山々に囲まれ、昭和の初め頃まで金山が稼働していました。今もその坑道跡や精錬所跡地を見ることができます。また現在はお米、りんご、きゅうり農家が多く、牛の繁殖農家も10件ほどあります。農作業をしていると集落のあちこちで縄文土器が出土することも度々。4000年以上も昔からこの土地での暮らしは脈々と受け継がれてきました。協力隊の活動拠点としてお借りしている南部曲がり家は築100年以上の古民家で、かつて馬産地としても有名だった地域の特色を今に伝えています。
協力隊に着任してすぐ、自己紹介のチラシを作り、集落のすべてのお家へ挨拶に伺いました。当時は車が無かったので1カ月ほど掛け、自転車と徒歩で集落内を巡りましたが、その活動を通じて、地域の皆さんのお名前や地名、土地勘を覚えていきました。
私の場合、大ケ生地域に暮らしながらの活動となる為、地域の皆さんとの関係性が大切で、それは現在も変わらず心掛けていることです。知らない土地での活動に、初めは戸惑うこともありましたが、郷土芸能、消防団、公民館の役員会などにも参加し、徐々にここでの活動、そして暮らしに慣れていきました。
活動内容は多岐にわたりますが、大きく3つに分けてご紹介します。
1つ目は「暮らしの支援」です。通年で様々な農家さんへ伺い、植え付けや収穫などの農作業をお手伝いしたり、除雪や草刈り、煙突掃除など、生活のお手伝いを行ったりしています。始めは自分から「何かできることはありませんか?」とお聞きしていましたが、最近では地域の皆さんから依頼して頂けるのが有難く、やりがいでもあります。そして何より、それらの作業は自分自身の経験や学びの場でもあり、この地域での暮らし方について教えて頂いております。
2つ目は「暮らしの記録」です。人口減少とともに、大ケ生地域の暮らしも変化する中、どの様にしてここでの暮らしを次の世代へ残していけるか考えた際、思い浮かんだのが写真で集落を記録していくことでした。前職は写真スタジオで働いていたこともあり、自分の特技を生かせたらと、活動の合間や日々の生活の中で、地元の行事、四季の風景、地域の皆さんの姿を撮影しています。撮影した写真は仲間の協力隊と大ケ生地域を紹介する冊子を作成したり、地元情報誌へ連載をさせて頂いたりと、地域の魅力発信の場で活用しています。また、3年の任期が終わる頃、大ケ生地域の写真展開催を目標に、日々写真を撮りためています。
3つ目は「暮らしの実践」です。地域の古民家に住むこと自体、この土地ならではの暮らしを体感できる貴重なことです。冬の主な暖房は薪ストーブで、それに合わせて薪づくりは春から始まります。自分で薪づくりができるようにチェーンソー講座にも通いました。ご近所のお母さんに教わりながら漬物や藁草履を作ったり、畑で豆から育てて味噌づくりに挑戦したり…郷土芸能の神楽を習い始めたのも、今では暮らしの中の一部分です。そして中でも力を入れて取り組んでいるのは、樹皮繊維を使った布づくりです。大ケ生地域を含む岩手県の広い地域で、古くから樹皮繊維を活用して生活用具が作られてきました。クルミやヤマブドウ細工といった工芸品と言われるものも、始まりは農村の手仕事でした。私はシナノキという山に自生する木の樹皮を材料に、昔ながらの機織機で布製品を製作中です。昨年夏に大ケ生の山でシナノキの樹皮を採集、半年かけて糸に加工し、春から布に織り始めました。今後はその布を加工して製品化、販売するところまでを目標に…と道のりはまだまだ長いですが、地域でできる古くて新しいモノづくりに取り組んでいきます。
今年3月で活動期間も折り返しとなりました。日々、多くの方に支えられ活動できていることに感謝です。協力隊として地域を元気に、と活動を始めましたが、気が付けばたくさんのことを教えて頂き、逆に支えてもらっている毎日です。まだまだ知らないことだらけですが、これからも地域に密着した活動を通じて、大ケ生地域の魅力あふれる暮らしの数々を継承していきます。
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