8月1日 広報もりおか特集(民俗芸能を支える職人たち)

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広報ID1057112  更新日 令和8年8月7日 印刷 

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広報もりおか8月号の特集は「民俗芸能を支える職人たち」。

民俗芸能団体の活動に必要不可欠な道具や衣装。紙面では、活動を支える道具や衣装を作る職人たちや民俗芸能団体へのインタビューを中心に仕事や演舞に対する意気込みなどを紹介しました。

ここでは、紙面構成の都合により掲載できなかったインタビューや写真を紹介します。広報もりおか8月号と併せてご覧ください。

目次

株式会社花王堂本店

取締役会長の高橋さん

 お話を聞いたのは、取締役会長の高橋雅子さん。

 株式会社花王堂本店では、さんさ踊りの花笠のほか、七夕飾りや入学式などで身に付けるリボン徽章なども取り扱っています。

 写真では花笠の製作風景を撮影させていただきました。

花びらの金紙に合わせて生地を切っていく様子。
生地に花びらの金紙を接着し、形に合わせて生地を切ります。

会長の作業風景

笠の中心を囲むように花びらを重ねる様子。
中心に木製の芯があり、芯を囲むように花びらを重ねます。花びらは大中小のサイズがあり、各3枚ずつ使用します。
花びらを釘で固定する様子。
重ねた花びらは釘で固定します。

花びらを折り曲げる様子

花びらを折り曲げる様子

絶妙な力加減で花びらを折り曲げます。

 

 高橋さんからは花笠の特徴なども教えていただきました。

 昔の花笠の花びらは紙で作っていて、約50年前に始まったさんさ踊りパレードをきっかけに紙よりも耐水性が高い布に変わっていったそうです。今でも紙の花びらを使うさんさ踊りの団体もいるので、演舞を見る際に探してみると楽しめるとのこと。それ以外でも葉っぱの材質にプラスチックを使ったり、紙にペンキで塗ったものを使ったり創意工夫を重ねているので、修理で持ち込まれた花笠を見て、いつ頃に作った花笠か分かると教えていただきました。

 「修理した花笠を見せたら新しいのではなく、修理を頼んだんですけどとお客さんに言われたこともあり、そう思ってもらえる花笠を渡すことができた実感とできて嬉しい。」と笑顔で話していました。

店舗情報

株式会社花王堂本店

〒020-0878盛岡市肴町11-14
電話番号:019-624-0878
営業時間:平日9時~17時半、土・日曜、祝日9時~17時
店休日:年末年始

 

店舗の外観

高松義雄太鼓店(「高」は、はしごだか)

高松孝治さん

 お話を聞いたのは、高松孝治さん。

 高松義雄太鼓店では、長胴太鼓や神楽太鼓などさんさ太鼓を含めさまざまな太鼓を製作しています。

 写真ではさんさ太鼓の製作風景を撮影させていただきました。

太鼓の革の写真1

太鼓の革の写真2

太鼓の革の写真3

太鼓の革の写真4

さんさ太鼓の模様は4回に分けて色を塗り重ねます。

太鼓の革に穴を開ける様子
土台の上に革を置き、ひもを通すための穴を開けます。
革に穴を開ける道具
太鼓の革に穴を開ける道具。いずれも自作しており、一番奥のは先代、手前の2つは高松さんの道具。刃先を見ると先代の道具は真っ直ぐだが、高松さんの道具は丸くしている。

太鼓を組み立てている様子1

太鼓を組み立てている様子2

 高松さんからは、太鼓の製作工程なども教えていただきました。

 太鼓に使う革は牛皮を加工して作り、品種は県内での生産が盛んな短角和種を使用することがほとんど。他の品種を使うこともありますが、白黒模様のホルスタイン種は皮も白黒模様があり加工するとシミっぽくなるため、なるべく1色の毛色の品種を使い見栄えにも気を付けています。

 さんさ太鼓は材料がそろっていれば約一カ月で完成しますが、長胴太鼓では材料となる木を伐採するところから始まるので約10年と太鼓の種類によって完成までかかる時間も変わります。

 革に穴を開ける道具以外にも、革の厚みを調整するための道具も自作しています。

店舗情報

高松義雄太鼓店

〒020-0044盛岡市城西町10-11
電話番号:019-624-2087
営業時間:8時~18時
店休日:年末年始、不定休

店舗の外観

巴染工株式会社

取締役社長の東條誠さん

 お話を聞いたのは、取締役社長の東條誠さん。

 巴染工株式会社では、浴衣や半纏、手ぬぐいなどの染め物を製作しています。

 今回、東條さんが東京の店舗にいることから、web会議システムを利用して話を伺い、別日にさんさ太鼓で使う太鼓巻きの製作風景を撮影させていただきました。

生地を伸ばしている様子

染料を補充している様子

その日の天候などにより染まり方が違うため、染料も都度調整しています。

染め残しが無いか確認している様子

生地裁断

生地を吊るす様子
染色した生地はつり下げて自然乾燥させます。その際、生地を水平にして色ムラができないようにしっかり固定します。

染色風景1

染色風景2

染色風景3

 東條さんからは、さまざまな染め方についても教えていただきました。

 巴染工では、8種類の染め方を扱っており、今回撮影した太鼓巻きは「シルクスクリーン」という技法で染めています。シルクスクリーンと聞くと、新しい技法のように感じますが、日本では「手㮈染(てなせん)」と呼んできた伝統的な技法でもあります。 

 東北で2カ所しかない技法は「注染(ちゅうせん)」と呼ばれるもので、生地の上に型紙を敷き、染めない部分にのり付けして染めます。細かい工程がいくつもある複雑な技法ですが、「巴染工で扱っている染め方の中で一番古い技法であり、これからも守っていきたい技術だと思っています」と東條さんが話す姿が印象的でした。

店舗情報

巴染工株式会社 南大通BASE・gallery(本社は紺屋町)

〒020-0874盛岡市南大通1-10-24
電話番号:019-622-5334
営業時間:9時~17時30分
店休日:土・日曜、祝日、不定休

店舗の外観


 職人たちが手掛けた道具や衣装を使用している民俗芸能団体にもインタビューをしました。写真は練習中の様子を撮影したものです。今回取材した黒川田植踊り保存会と盛岡さんさ踊り清流は、8月30日(日曜日)に開催する青少年郷土芸能フェスティバルにも参加予定です。ぜひ、演舞も見ていただきたいと思います。

黒川田植踊り保存会

 黒川田植踊り保存会では、会長の砂子澤さんや前会長の田中芳美さんから話を聞きました。

 黒川田植踊り保存会の花笠は、8年前に花王堂本店に依頼して製作してもらったものになります。それまで使用していた花笠は、赤の花笠のみで、房の装飾にビニールを付けていたり写真とは違うデザインでした。製作するにあたり、装飾につけていたビニールは取ったほか、房も二重にして見栄えを良くしたり、りんごも生産している黒川地域らしさを出すために白の花笠を作成したりと花王堂本店と相談しさまざまな要素を盛り込んで製作しています。

花笠

花笠(白)

春田打ちの様子
春田打ちの練習。春の田起こしを表現した踊りで鍬を模倣した道具を使い演舞します。
笠振りの様子
笠振りの練習。田植え作業などを表現しており、首を左右に振ることで笠の周りについている房が美しく広がります。

笠振りを体験

インタビューだけではなく、笠振りの体験もさせていただきました(白い花笠)。笠を回す速度が遅いと房が上手く広がらない、笠を振るのに注力していると手の動作が疎かになってしまうと体全体の動きをそろえるのが難しかったですが、上手く房が広がると達成感がありました。

盛岡さんさ踊り清流

 盛岡さんさ踊り清流では、盛岡市青少年郷土芸能フェスティバルに参加する菊池さんに話を聞きました。菊池さんは、盛岡さんさ踊り清流で8年活動しており、現在中学2年生。

 浴衣を着ての演舞は2年目ということもあり、インタビューでは、紙面でも触れていた手足の先を意識すること以外にも、半纏と違い浴衣には帯があることから踊っている最中の息継ぎの難しさを語っていました。

 大人に混じって練習していましたが、撮影した写真はいずれも親指が離れないように手先を意識して踊っていて、本番でも大人にも引けを取らない華麗な演舞が見られるのを期待しています。

さんさ踊りの練習

さんさ踊りの練習

さんさ踊りの練習

 主宰の関口さんにも、道具や衣装でさまざまな話を聞きました。

 衣装では、浴衣の反物を巴染工に依頼した時に、染める機械の更新により以前とは違う生地への変更や色の再調整をしたことがあり、その際に背中にある暴れ熨斗(のし)という模様の赤色が舞台やパレードも照明で色飛びしないように何度も調整を依頼し、納得がいく色合いにしてもらったとのこと。

 道具でも、新型コロナウイルス感染症が流行していた時期に高松義雄太鼓店にさんさ太鼓の色を塗り直してもらい、新品のような見た目から再び太鼓打ちとして演舞しようと決意したと話していただきました。

編集を終えて

 今回の特集制作では、民俗芸能団体からの思いに応える職人たちの姿をインタビューを通してうかがうことができました。

 また、職人たちが道具や衣装を製作するための材料へのこだわりを知ることができた一方、課題を抱えていることも感じました。花王堂本店では、紙面でも触れた金紙だけではなく花びらの布も手に入らなくなり、調達に苦労していると話していました。高松義雄太鼓店ではバチの補修にも取り組んでいます。バチは「ムラサキシキブ」という木から作られますが、近年、ムラサキシキブが手に入らなくなってきたため、使用しているバチのすり減った箇所に木の粉を盛り付けて長く使えるように補修していることを教えていただきました。

 職人たちの努力と工夫の積み重ねが民俗芸能団体の活動を守っていると改めて感じました。

 今回の特集を読み、一人でも多くの人が民俗芸能の演舞を見たり、活動に参加したり、関心を持つきっかけになるとともに、道具や衣装に込められた職人たちの技術や思いを感じてほしいと思います。

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