念仏剣舞

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広報ID1022411  更新日 令和3年12月13日 印刷 

盛岡の念仏剣舞

念仏剣舞は、死者、先祖供養のため、また悪霊を祓うために踊られてきました。鎌倉時代に始まった踊り念仏が、芸能の色合いを強めながらも、盛岡の地で昔からの要素を残しつつ受け継がれていることに驚かされます。


念仏剣舞は岩手県の特色ある芸能の一つで、鬼剣舞を始めいろいろな念仏剣舞がありますが、盛岡で踊られているのは大念仏剣舞(だいねんぶつけんばい)と高舘剣舞(たかだてけんばい)です。どちらも面は用いません。


写真
高江柄念仏剣舞保存会

大念仏剣舞は、仏を供養し浄土を求める気持ちの強い念仏剣舞と言われています。ここでは、隅田川の岸辺で没した梅若丸の悲しい伝説にからめた発祥を伝える団体が数多く見受けられます。大念仏剣舞では大笠振りが中心になりますが、華やかな大笠が念仏に合わせゆっくりと回るさまを見て、人々は極楽浄土を目の当たりにする思いだったのでしょう。


また高舘剣舞は阿修羅踊りの一つと言われていて、反閇(へんばい)という地面を強く踏みしめる所作を行い、刀を使うことで悪霊を鎮める色合いが濃いことから、修験道の影響があると見られています。由来として、戦いの士気を高めるために踊られたとも、戦いによって滅ぼされた使者の魂を慰めるために踊り始めたとも言われ、源義家や義経などの果敢な武士の名前が出て来ます。扇、太刀、なぎなた、綾棒などを持ち替えて踊りますが、なぎなたの踊りを「高舘」と言う場合が多いようです。

念仏剣舞では由来を記した巻物をとても大切にしています。巻物を持参して奉納の場にのぞむことも守られていて、信仰が深く根を下ろしている芸能です。

踊りの構成

イラスト:ビンザサラ

大念仏剣舞は、大笠振りと輪踊りの部分に分かれます。大笠は直径約1.5mの丸い台に阿弥陀堂をあらわす三重や五重の塔を据え、四方に門を置いて金蓮華や軒花を飾り、赤い幕やタンザクを回りに垂らした笠をかぶって踊るものです。大笠振りの後、ふくべを先頭に、太刀、唐団扇、扇を持った踊り手が輪踊りをします。また「廻り胴」という太鼓の曲打ちも行います。

高舘剣舞では、踊り手は前結びの鉢巻きをして浴衣と袴を付けていますが、「高舘」という演目では鳥甲(とりかぶと)を付ける団体があります。踊りは180度回転して跳ねるなど激しく、脱ぎ垂れにした単衣や五色の腰帯をたなびかせて踊ります。

剣舞では踊りを「庭」と数えます。一庭は3つか4つの部分からなっていて、例として「入り羽」「中踊り」「引き羽」などと言います。お囃子は笛太鼓に加えて、編木(ビンザサラ)と鉦が付く団体があります。

ふくべ

イラスト:ふくべ

大念仏剣舞の採り物の1つに「ふくべ」がありますが、元来「ふくべ」はヒョウタンのことです。たいまつをかたどった物とする団体もあります。空也上人の流れを汲む空也僧は、鉢やヒョウタンを叩いて念仏を唱え、国中を歩きました。そのヒョウタンが念仏剣舞に受け継がれていると言われています。絵巻物「融通念仏縁起」には鉦を叩きながら踊り念仏をする場面があります。

家廻り

イラスト:家廻り
融通大念仏

比較的最近まで、多くの念仏剣舞ではお盆になると地区の家々をまわったり、遠くの地区から招かれたりして供養のために歩きました。地域の大きな家の前庭で踊ったあとは、お膳を並べた座敷で歓待を受けたものだそうです。こうした習慣も歴史あるものですが、最近は行われなくなっています。

念仏剣舞の指定文化財保持団体

国指定重要無形民俗文化財(全1団体)

岩手県指定無形民俗文化財(全1団体)

盛岡市指定無形民俗文化財(全9団体)


出典:盛岡の民俗芸能「念仏剣舞」(作成:盛岡市無形民俗文化財保存連絡協議会)

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