旧南部氏別邸庭園が国登録記念物(名勝地)に登録されました。

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広報ID1009338  更新日 平成28年8月21日 印刷 

旧南部氏別邸庭園(市中央公民館庭園)が、2014年3月18日付官報告示により、文化財保護法の規定により、文化財登録原簿に登録となりました。

区分

国登録記念物(名勝地関係)

名称など


旧南部氏別邸庭園の画像
旧南部氏別邸庭園
  • (名称)旧南部氏別邸庭園
  • (所在地)岩手県盛岡市愛宕町267番1、468番1 盛岡市中央公民館庭園
  • (所有者)盛岡市
  • (登録年月日)2014年(平成26年)3月18日

概要

旧南部氏別邸庭園は、盛岡市街地の北、中津川の右岸に位置する。この地には江戸時代初期に盛岡藩の「御薬園(おやくえん)」が設けられたが、同園の廃止後に御殿や庭園が造られ、代々の藩主の別荘地となった。明治維新後、建物は取り壊され、庭園も荒廃したが、明治41年(1908)に南部家第43代当主南部利淳(としあつ)により、現在まで残る木造建築と庭園が整備された。
愛宕山に隣接する平坦な土地につくられた庭園は、3つの中島が浮かぶ広い池を中心とし、池の周囲および中島にはさまざまな意匠の燈籠類やマツ、モミジなどの樹木が配されている。
幾度か改修され、第二次世界大戦後には庭園の一部が失われたものの、江戸時代の絵図なども残っており、その変遷を追うことができる。
以上のように、旧南部氏別邸庭園は、江戸時代以降の東北地方における造園文化の発展に寄与した意義深い事例である。

現存する庭園(原設計:長岡安平)は、木造の本邸建物(設計:葛西萬司、指導:原敬)や蔵などともに南部伯爵家の別邸の附属施設として明治41(1908)年に造営。造営当時の庭園は戦後に北側約5分の1が失われたものの、園地周囲や浮島に山灯篭・春日灯篭・銀閣寺垣を配した庭園は旧別邸大広間からの座視鑑賞を重視した回遊式庭園である。面積約1万平方メートル。

特徴

書院造の大広間からの座視鑑賞を重視した廻遊式庭園。別邸当初は借景庭園と考えられる。江戸時代から昭和20年代には、岩山・桜山・高洞山・名乗山・姫神山などの山が眺望できたが、現在では岩山・桜山・名乗山・姫神山・蝶が森の一部だけが眺望できる。
区画施設として、木柱・縦矧ぎの板・木柵。旧野田街道沿いの石垣は幕末から明治期にみられる算木積み。土塁は、現在では約120メートル余りが存存するが、当初は高さ7尺(210センチメートル)、長さ384間(691.2メートル)。
池泉について、下小路屋敷当時は約8000平方メートル、別邸造営時に3170平方メートルに縮小された。鑓水は江戸時代から別邸当初は北東側1カ所、現在と同じ西側1カ所から取水。鑓水を伴う北東側の取水口は、敷地縮小により現在では井戸水のポンプアップによる。
園路は、江戸時代の絵図にみられる。別邸前の園路は新設のもの。中島にかかる橋は、当初は土橋、現在は反り橋(太鼓橋)である。
植栽について、当初は五葉松4本、枝垂桜1本、キャラ、松など常緑針葉樹に、芳野桜100本、大盃紅葉50本などの落葉樹を配したが、現在は柿などの有用樹のほか、ヒマラヤシーダー、プンゲンストウヒ、杉、桜、山モミジ、白樺、垂れ桂、モミなどの高木、ツツジ、紫陽花などの80種以上の低木が増加している。睡蓮は昭和20年代以降である。また、皇族、宮家による計18本の松の植樹がなされている(明治41年~昭和9年)。そのほか南部家の植樹もある。
別邸前の広場はについて、長岡安平は全国の公園や庭園の設計にあたり「遊戯場を備えることは必要条件」とし、別邸と池泉の間に広い空間を設けた。原敬も大勢の園遊会などに混雑をしないようにすること、乗馬や馬車自動車などがふえることから、正面と玄関前に広い空間を設けるように指導している。
別邸庭園の設計上の特徴について、下小路屋敷の池泉などの地形と、敷地の平面系を踏襲しつつ、中島・出島の配置を見直し、廻遊性を高めている。しかし、昭和10(1935)年に記録した「御別邸敷地沿革及び新規造営物等の説明」(南部別邸略記)によれば、長岡の設計は規模が広大すぎ、工事費もかかるため参考にとどめるという記録がある。この長岡の設計思想を受け継ぎ、池泉の縮小などして完成された。長岡は、桜の植樹、池泉に護岸石の採用、園路の整備、運動場の整備、公園的要素を加味するなどの特徴がある。
廻遊性を加味し、御座の間(和室)からの山灯籠のある滝・土橋、姫神山などの借景を第一に重視しながら、(1)謁見の間(大広間)からの庭園全体の眺望を大事にしたこと、(2)愛宕山を借景とした東側からの眺望、(3)桜山や岩山を借景とし、松と杉を背景に、手前に山モミジを配した西からの眺望、(4)南昌山などの山並みを借景に、山灯籠の乗る丘から別邸を見越した眺望が考えられる。

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