盛岡市地域おこし協力隊活動報告(令和5年6月・佐々木隊員)

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広報ID1043290  更新日 令和5年6月12日 印刷 

 盛岡市地域おこし協力隊として2022年4月に着任しました佐々木と申します。玉山総合事務所産業振興課に所属し、薮川地域を中心に活動しています。活動のテーマは「極寒天国(しばれすとパラダイス)・薮川地域をもっと稼げる地域に!」です。「稼げる地域に」とは結構大括りのテーマだなと思っていましたが、もともと盛岡出身で薮川に知人がいたということもあり、この地域についてはある程度知っていましたので、テーマの根っ子の部分で、地域の存続にも関わる深い課題がありそうだということは感じていました。

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 本州でも指折りの寒さを誇る薮川は、毎年気象庁から発表される「本州一寒い朝を迎えた盛岡市薮川では氷点下○○.○℃を観測しました」といったニュースが全国区で流れますね。極寒の地というワードで県外でもご存じの方は多いと思います。

 薮川は、国内でも有数の美しい人造湖として名高い岩洞湖を中心に、春から夏にかけての新緑、秋の紅葉、冬のダイヤモンドダストなど、1年を通じて大自然のコントラストがとても綺麗な地域です。

 また、昼夜の寒暖差が育む香り豊かな蕎麦や、特産の行者にんにく、きのこなどの自然の恵みも豊富で、キャンプや自然散策、ツーリング、氷上わかさぎ釣りなど、四季折々の魅力的なアクティビティがたくさんあります。

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 外山牧場が宮内省御料牧場となった頃に作業員が共同作業をしながら唄った労作唄「外山節」も、岩手を代表する民謡として全国に知れ渡っています。

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 一方で、65歳以上の高齢者が占める割合(高齢化率)が21%を超えた社会が「超高齢化社会」と言われる中、令和4年9月末時点の盛岡市人口統計によると、高齢化率は盛岡市全体の28.7%を大きく上回る64.0%に達しています。少子・高齢化に伴い人口減少が進む中、若者人口、生産年齢人口を増やし、将来に向けて経済活動を活性化させていくことが、「稼げる地域に」していくための大前提だと思いますので、そう考えるとなかなか手強いテーマです。

 着任の際、「薮川地域をまずは俯瞰で見てみて欲しい」とのお題をいただきました。そこでまず1年目は、薮川を客観的に見て、魅力をゼロベースで知ろうということで、県立図書館での薮川に関する書籍の読破や、地元の自治会長さんや協議会の事務局長さん、地元の方々に、それぞれの立場からさまざまなお話を伺いました。また平成27年に「玉山薮川地区地域づくり計画書」作成の際、ワークショップの開催や計画書のとりまとめに尽力された岩手県立大学の先生と情報交換、意見交換を行うなど、とにかく情報集めに努めました。

 岩洞湖家族旅行村では、利用者の生の声を拾おうとWEBアンケートを行いました。その場で紙に書くアンケートと違い、キャンプ滞在中や家に帰られてからなど、空き時間に自分のペースでスマホから入力できるので、オープンアンサーに結構時間を割いて入力される方もいらっしゃいました。かなりの数のご意見ご要望が寄せられ、改めてこの旅行村のファンの方々が多いことが分かりました。この可視化された生の声を元に、県や市と今後の改善に繋げていきたいと考えています。

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 薮川を調べていく中で、認識を新たにしたことは、「縄文から今に続いている薮川地域は、その歴史、人々の営みがすでに凄い、素晴らしい」ということです。今世界中で、地球環境や自然環境を守り持続可能な社会を目指す取り組みが行われていますが、この薮川地域は、共存共栄、必要な分を必要なだけ、季節の恵みを有り難くいただくなど、厳しい環境の中でも自然や地域の人々と共生する術を代々身につけ、サステナブルな暮らしをはるか昔から実践しているのです。

 また牧畜や畜産を通じて日本の近代化に多大な貢献を果たした地域であることも、意外と知られていません。明治10年に東京開成学校と東京医学校が合併して東京大学が設立されたわずか2年後、地域産業振興に貢献する人材育成のために、薮川・外山の地に獣医学校が開学します。現在の盛岡農業高等学校です。外国の先生を招聘し西洋の牧場を学ぶとともに、当時の教科書は、医学部を持つ東大と同じものを使っていたとも言われています。つまりこの地域は、当時の牧畜・畜産の日本の最先端の地だったということになります。それだけに馬の扱いに長けていたのでしょう。明治24年に日本で3番目となる宮内省直轄の「外山御料牧場」が開設されます。

協力隊活動報告(令和5年6月)写真12

 このように歴史の視点からだけでも、この地域を深掘りすると興味深い史実が他にもたくさんあります。ただ、これらの史実を薮川の将来にどのように活かしていくか(いけるか)については、地元の課題でもあり、市の課題でもあると感じています。

 現在から未来に目を向けますと、リモートワークやテレワークなども含め、薮川への移住を推進し若者など関係人口を増やしてしていくためには、光回線などITインフラの整備や、住まい情報(空き家、土地等)の提供は不可欠だと考えています。光回線の敷設については、薮川地域だけではなく他の未整備地域との連携が必要です。空き家、土地についても、物件はあるものの、この地域は市の空き家バンクの登録対象外のため、何らかの情報発信手段が必要です。

 光回線にしても住まい情報にしても、簡単には解決できない課題ですが、地元と行政の両方の視点で、薮川の将来のために今着手すべきことを一つでも多く前に進めていけるよう鋭意活動中です。

 4月末に薮川公民館で開催された、「薮川長寿大学」という地元の方々が学びや運動などを通じて心身共に健康で過ごすための「大学」と銘打った集まりに講師として招かれ、この1年の活動を具体例を交えてご報告させていただきました。メモを取る方もいらっしゃって皆さんとても熱心に聞いて下さいました。ありがとうございました。

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