第22回：池野藤兵衛(いけのとうべえ)

池野藤兵衛(1871年～1962年)

盛岡金融界の先覚者・岩手銀行取締役

池野藤兵衛(旧名：金之助)は1871年(明治4年)8月24日、盛岡新穀町にて7代目池野藤兵衛甚太郎の長男として生まれた。池野家は盛岡藩政時代から続く老舗「木津屋」を継いでおり、8代目藤兵衛の名は1905年(明治38年)に襲名した。
1914年(大正3年)、岩手銀行の取締役に就任するなど本県実業界の有力者であり、大正14年には盛岡商業会議所議員なども勤めた。また多年の社会公益事業への貢献が認められ、1915年(大正4年)には赤十字有功賞を受けている。また、藤兵衛は親戚の池野三次郎とともに三田義正を説き、当時田んぼであった盛岡市内の菜園の都市化を計画した。1927年(昭和2年)には「南部土地株式会社」を設立し取締役に就任、その計画が予定通りに完成したときには自ら退任した。
池野家では、代々当主となるべき人間を秋田の那波家へおくり、見習い奉公をさせていた。8代目藤兵衛はその最後の人であり、池野家に伝わる家訓“自他利益を旨とすべし”を遵守してその生涯をおくっている。

掲載日：平成17年8月25日