第109回:葛精一(くずせいいち)

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広報ID1009638  更新日 平成30年12月17日 印刷 

葛精一(1894年~1984年)

鳥類学者

葛精一(くずせいいち)の写真

葛精一は1894年(明治27年)4月17日、南岩手郡米内村(現:盛岡市下米内)にて葛孝造、万代の次男として生まれた。自然に囲まれた環境の中で幼いころから野鳥に親しみ、種類の多様さ、鳴き声の美しさ、習性のおもしろさに興味をいだいていった。
盛岡高等農林学校(現:岩手大学農学部)を卒業後、農商務省に入省、以来約40年間鳥類の研究保護に携わった。特に野鳥の食性調査を精力的に行ない、従来害鳥とされていたスズメとカケスの評価を高めた功績は大きい。スズメについては農林業上の有害昆虫を啄(ついば)むことを明らかにした。またカケスについて、餌の大部分が有害昆虫類と森林の有害植物であることを証明し、狩猟鳥から除外させた。
林野庁指導部調査官や森林保護室長を務め、1958年(昭和33年)に世界鳥類保護連盟総会に政府代表として出席、1960年(昭和35年)には国際鳥類保護会議にオブザーバーとして出席するなど、国内外ともに野鳥研究の第一人者として活躍した。鳥類保護に関する功績により、1956年(昭和31年)に第1回鳥学賞を受賞している。また、葛は皇居内の野鳥保護や昭和天皇の鳥類研究のお相手、皇太子殿下の狩猟のご指導役を務めたことでも知られている。
退官後は郷里盛岡に戻り、国や県の依頼により岩手に生息する野生鳥獣の生態調査や後進の指導にあたり、本県の鳥獣保護に貢献した。1976年(昭和51年)には盛岡市の市勢振興功労者として表彰されている。

掲載日:平成21年4月10日

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