取材日記:令和3年8月
広報ID1036169 更新日 令和3年8月2日 印刷
広報もりおか8月1日号特集関連記事
広報もりおか8月1日号の特集は『「一人一人」のSDGs』です。
SDGs(エス・ディー・ジーズ)とは、2015年(平成27年)9月の国連サミットで決められた、2030年(令和12年)までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標で、「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称です。世界のさまざまな問題の解決に向け、17の目標と169のターゲットが掲げられています。詳しくは、紙面をご覧ください。
表紙では松園中学校の生徒をはじめ、市内に住んでいる・働いている皆さんに、SDGsに関わる「今できること」を書いてもらい、撮影しました。皆さんから素敵な笑顔をいただきました!
このほかにも、SDGsに積極的に取り組む団体や、SDGsの必要性などを解説していただいた岩手県立大学の渋谷教授のお話を掲載しました。
ここでは、紙面構成の都合により掲載できなかったインタビューや写真を紹介します。広報もりおかと併せてご覧ください。
岩手大学男女共同参画推進室 佐藤淑恵さん
岩手大学男女共同参画推進室で、ワーク・ライフ・バランス/キャリア相談員として務める佐藤淑恵(さとう よしえ)さん。
スケッチブックに書いた言葉は
「男らしさ・女らしさにとらわれない 職場も家庭も地域でも ジェンダー平等実践!」
佐藤さんは、職場でジェンダー平等に取り組むのはもちろん、家庭でも気を付けているとのこと。
男女合わせて3人のお子さんがいる佐藤さん。
「男の子だから料理はしない、とかそういうことは一切しないですね。買い物や料理など、子どもたちに平等にやってもらっています。」
今回の表紙の取材については、
「取材のお話をいただいたとき受けるかどうか一瞬迷いましたが、受けることにしました。女性だからと言って遠慮しないように、仕事でも積極的に、つねに一歩前に踏み出すことを心掛けています。」と笑顔で話してくれました。
松園中学校
松園中学校の2年・荒井さん(写真左)、3年・中野さん(写真中央)、同じく3年・吉田さん(写真右)が書いた言葉は、
「知ろう 学ぼう 学校から地域・世界まで」
同中学校では、総合的な学習の中でSDGsについて学ぶ「ハチドリプロジェクト」に取り組んでいます。
森が燃えているときに、われ先にと森の生き物たちが逃げる中で、1匹のハチドリだけはクチバシで水のしずくを一滴ずつ運んで、火を懸命に消そうとする。周りの生き物たちに「いったい何になる」とからかわれる中で、ハチドリは「私は、私にできることをしているだけ」と応える――そんな南米エクアドルの先住民に伝わる話が、プロジェクト名の由来です。
授業では、SDGsに関連する新聞記事を切り取り、意見や感想を出し合いながら、理解を深めます。
最終的には、17の目標から関心のある番号を選び、生徒一人一人がはがきサイズの新聞を作り、それぞれのSDGs宣言を作り上げます。
「1 貧困をなくそう」のパネルを持つ荒井さんは「海外でクーデターの記事を読み、同世代や私たちの年齢以下の子どもたちが、争いやそのために生じる貧困のせいで学校に行くことができない、ということが強く印象に残りました。私たちにも決して無関係な話題ではなく、年齢が近いからこそ、何ができるか真剣に考える必要があると思います。」と話しました。
ラッセル岩手の大和田洋平さん
県内で活動している車椅子バスケットボールチームの「ラッセル岩手」。
このチームでキャプテンを務める大和田洋平(おおわだ ようへい)さんが書いた言葉は、
「車イスバスケを広めたい」
車椅子バスケットボールは、座った状態からシュートをするので、上半身の筋力が必要です。
練習では、大和田さんは車椅子を器用に動かしながら、鮮やかにシュートを決めます。
「障がいがあってもなくても、誰もが生き生きと生活できる社会は、SDGsが目指す目標につながっています」
と大和田さん。
ラッセル岩手は、部員を絶賛募集中とのこと。
川上塗装工業株式会社の川上秀郎さん
川上塗装工業株式会社(三ツ割)の代表取締役を務める川上秀郎(かわかみ ひでお)さんが書いた言葉は、
「塗装を通じて 世界を変える! ONE LOVE」
同社では、2年ほど前からSDGsを意識した活動に取り組むようになりました。
その一つが「WHITE ROOF PROJECT(ホワイト ルーフ プロジェクト)」。
「学童や公民館などの屋根は、夏場には50℃以上にもなり、その暑さが室内にも伝わってきます。断熱や遮熱などの性能がある塗料を塗ることで、室内を快適にすることにつなげて1000人をスマイルにするのが、このプロジェクトの目的です」と川上さん。
最近では、緑が丘学童保育クラブで、同クラブに通う児童をはじめ、地域の人々約80人で屋根を白く塗り上げました。
そもそもSDGsに取り組むきっかけとなったのは、子どもの存在が大きいとのこと。
「わが子が生まれ、保育園、小学生と大きくなる姿を見て、『この子たちの輝く未来だったはずのものを絶対につぶすわけにはいかない』と思うようになりました。経営者としても経営方針に悩んでいましたが、子どもたちの存在のおかげで、会社の在るべき姿を気付かされました」
子どもたちの未来を守るSDGsの活動は、「WHITE ROOF PROJECT」の他にも、各家庭から不要になったTシャツやタオルを預かり、同社で種類ごとに分別し、障がいのある人たちに裁断をしてもらってウエス(=布)を作り、同社の作業に使ったり、販売して収益を寄付する「リンクアップウエス」があります。
今後の目標は、と尋ねると、川上さんと妻の冴華さんは顔を見合わせて、「やっぱりこれじゃない?」とスケッチブックの「ONE LOVE」を笑顔で指さしました。
百寿の黒澤庸さん
加賀野にお住いの黒澤庸(くろさわ よう)さん。
なんと、御年100歳!
黒澤さんがスケッチブックに書いた言葉は、
「電気をこまめに消します」
もちろん黒澤さん本人の直筆です。
「電気が無駄にならないように、日頃から意識して取り組んでいます」と黒澤さん。
好きな食べ物をお伺いしたところ、お寿司とお肉、とのこと。
いくつになっても、もりもり食べることが、元気の秘訣かもしれませんね。
岩手大学環境マネジメント学生委員会委員長の古川陽大さん・副委員長の合川華乃さん
岩手大学環境マネジメント学生委員会(以下、EMSC)の委員長の古川陽大(ふるかわ ひなた)さん(写真右)・副委員長の合川華乃(あいかわ かの)さん(写真左)がスケッチブックに書いた言葉は、
「若い世代とSDGsを繋ぐ架け橋になりたい」
EMSCでは学生向けに、各学部のごみの分別状況を、毎週SNS(ツイッターとインスタグラム)で周知、などの環境教育啓発活動を中心に行っています。この他にも、地域でのイベントも企画します。
「毎年、つつみ幼稚園で遊びを通して環境について学んでもらうイベントを開いています。今年はコロナ感染状況を配慮し、代わりに委員会内で委員向けに、自然に関するワードを探しながら構内を歩くネイチャービンゴやザリガニ釣りなどを企画して、環境保全の意識を高めてもらう活動をしました」と合川さん。
また、市が9月に開催する「環境学習講座」では、古川さんが講師として、市民への講義を行う予定です。
「講師として人の前に出るのは初めてなので、緊張しています。しかし、学内や近隣だけでなく、より広く環境を保全するための大切さを知ってもらう機会にもなるので、とても楽しみにしています」と古川さん。
カメラを向けると「実は笑顔が苦手です」との古川さんに、合川さんが「いつもはもっと笑いますよ」とすかさずフォロー。とても和やかな雰囲気のお二方でした。
いわてグルージャ盛岡
いわてグルージャ盛岡(以下、グルージャ)は、言わずと知れたサッカーチームです。
サッカーチームがSDGs? と思う人もいるかもしれませんが、実はSDGsの活動に力を入れています。
その一つが、「子ども食堂の支援」です。
昨年8月から、県内各地の子ども食堂に参加した子どもたちと、さまざまなイベントを通して交流しています。
「グルージャには、職場体験として多くの若い人が来ますが、その時に学生一人一人に得意分野を必ず聞くようにしています。例えば、ある学生がダンスが得意といったら、その子を先生にして、子ども食堂の一つのイベントにしてしまって、子どもたちと一緒に楽しむ機会をつくります。このように、この一年間、とにかく多くの人や企業を巻き込みたいという想いから、たくさん声を掛け、一緒に活動してきました」とホームタウン担当の福田さん。
「今年は、スタジアムから出るごみをなくそう、という取り組みを始めました。この活動も、実は子ども食堂とリンクしていて、スタジアムで出たごみをたい肥化して、その肥料で『グルージャ米』というお米を育てています。今年の初夏に育苗したばかりですが、資源の活用や県産米のPRに加え、今年は子ども食堂で子どもたちにも食べてもらえたらと思っています。」
準備を含め、約1年がかりでグルージャ米のプロジェクトを進め、今年の秋には、たわわに実る稲穂が見られることに期待が膨らみます。
「この一年、子ども食堂の活動をはじめとして、各地域の皆さんとつながり、SDGsの活動の認知度も高まり、やっと小さな『〇(まる)』ができたように思います。この『〇』を、もっともっと大きくしていきたいです」
最後に、福田さんからひと言。
「皆さんも、グルージャと一緒にSDGsはじめませんか?」
株式会社盛岡書房
盛岡書房では、主に市内に住む人たちから本を寄付してもらい、クリーニングや検品などをして、インターネットで販売をしています。その全ての作業に、福祉作業所の人たちが携わっています。
「障がいのある人たち一人一人が、それぞれの得意なことを生かして作業しています。仕事ぶりもとても丁寧ですし、仕事をする中でだんだんと責任感が生まれ、仕事を休まなくなり、休まなくなると次の就職へのステップにもつながります」と代表取締役の高舘さん。
「作業に慣れてくると、必要な物があるときに企画書を作ってなぜ必要なのかを説明してくれたり、どの棚にどの本があるのかすぐに探し出したりと、日に日に仕事の質がレベルアップしているのを肌で実感しています」
実際、昨年は5人が就職し、今年もすでに2人が内定しているとのこと。
また、本の売り上げは、作業所の皆さんの工賃になる他、新しい本を買って、小児がんなど病気と闘う子供たちへプレゼントしています。
「病気と闘っている子どもたちは、入院や治療のために、遊んだり出かけたりする機会が少なくなりがちです。その代わりとして、読書が役立つと思うんです。本の世界って無限じゃないですか。本を読んで空想したり、いろんな体験ができます。ぜひ皆さんにも、読み終えた本でできる、このサイクルに参加してもらえると嬉しいですね」
岩手県立大学総合政策学部 地域社会・環境コース 渋谷晃太郎教授
今回の広報作成にあたり、岩手県立大学の渋谷晃太郎教授に、SDGsの必要性やこれからどうあるべきかなどをたくさん教えていただきました。
「3年程前まではSDGsについて詳しく知っている人はほとんどいなかったと思います。ここ数年でSDGsという単語をたくさん見聞きするようになりましたね。大手の企業CMなどで、『SDGsって何だろう』と気になっている人は多いのではないかと思います」
確かに、テレビ以外にもラジオでもSDGsにスポットを当てた番組があったり、17色のカラフルなサークルのバッチを付けている人たちを見たりと、編集担当の私自身、とても気になる存在になっていました。
「SDGsについて知らないのは、実は大人なんです。学習指導要領が改訂され、小学校や中学校などで、子どもたちはすでに学び始めています。ある日突然、我が子に、SDGsについて質問される、ということがあるかもしれません(笑)」
子どもが学校に通っている親御さんたちは、あらかじめ心の準備が必要かもしれませんね。
「『1 貧困をなくそう』から『17 パートナーシップで目標を達成しよう』まで、彩り豊かな17つの目標アイコンがありますが、どの取り組みから始めても大丈夫です。例えば、スーパーで気に入って買っていた商品が、実は児童労働削減への活動に寄付をするものだった、など、地球の持続可能な環境・経済・社会のためのものであれば、どんなことでもSDGsにつながります。決して敷居の高いものではありません。」
渋谷教授は、SDGsは他人事ではなく、自分事として捉えることが重要、と話します。
今回の広報を読んで、「SDGsについてもっと知りたい!」と思った人はぜひ、岩手県立大学アイーナキャンパスで毎月一回開催している、入門編「アイーナSDGs講座」(事前申し込みが必要)へ参加してみてはいかがでしょうか。
そう遠くはない未来、2030年に向け、私たち一人一人が普段の生活の中で、SDGsを意識しながら具体的に行動することが大切なのかもしれません。
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